”プロッター”、次はバイブル?──“欲しい”の奥にある問いと僕の迷い。

プロッター バイブルサイズの購入をめぐる哲学的考察。文具を“問い”で選ぶ記事のアイキャッチ画像。 ノート・手帳
THINK INK NOW制作:記事のためのオリジナルOGP画像。文具を“かっこよさ”で選ぶのではなく、“問いの奥行き”で選びたい──そんな思索を込めたデザイン。

前回の記事では先日訪れた、FRAT#7で”オニオンスキンペーパー”のシステム手帳リフィルを見かけた、と書いた。

そして僕はこう考えた。

「やはり文具ブロガーを名乗るには、”バイブルサイズのシステム手帳”を使わないとダメか?」その問いはすぐこう変わる。「バイブル片手にカフェで手帳タイム。イケてるんじゃないの?」と。

僕が若かりし20代前半(約35年前)の頃、そんなスタイルで街を闊歩するのが”いまどき”だった。この考えの根底には、そんな記憶が影響しているのかもしれない。

ならば「止まらぬ物欲」と「文具ブロガーの理性」は共存できるのか?そんな拙論を今回は展開してみたい。

M5を使いながら、バイブルに惹かれている

プロッターM5を半年以上使っている。どこへ行くにも持ち歩けて、革の手触りも、書き心地も、僕の生活にぴたりと馴染んでいる。

そして何と言っても、アイデアの浮かんだ瞬間に書ける。これこそM5を持った最大の効果だ。それなのに、バイブルサイズのプロッターが気になってしょうがない。


「欲しい」と思った瞬間に立ち止まる

欲しい理由を冒頭で「バイブルを使う自分が“イケてる”」と妄想しているからだ、と述べた。しかし、もう一つ理由がある。

  • 記事にすればアクセスが伸びそうな気がする

つまりバイブルサイズが欲しいのは、近視眼的な報酬を求めているだけかもしれない。だけど、最近はそこでもう一歩だけ踏みとどまるようにしている。


文具ブロガーの理性:「買う前」にも「買ったあと」にも必要だ

しかしここからが、文具ブロガーの理性。欲しいものを手に入れたい衝動を抑えるかのように、この問いを繰り返している。

  • 「買ってどう使うのか?」
  • 「価格に見合う効果はあるのか?」
  • 「知的生産に寄与する工夫ができるツールか?」

それはプロッターに限らない。どんな文房具でも、結局は“問いの連続”で使い方が決まっていくのだと思う。そしてそれは、買ったあとにこそ、より深く問われる。

文具ブロガーの理性とはそんな考えに表れているのかもしれない。

鷲田清一先生の『哲学の使い方』からヒントをもらう

そしていま読んでいる本の中で、著者の鷲田清一先生はこんな趣旨のことを書いていた。

「哲学とは、答えを出すことではなく、問いを持ち続ける“肺活量”のようなものだ」と。

鷲田清一著『哲学の使い方』の表紙写真。文具を選ぶ思考に哲学的視点を導入する参考書籍。
鷲田清一『哲学の使い方』(岩波新書)。“問いを続ける力”としての哲学を、プロッターを買うかどうかという選択に重ねた一冊。
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この言葉を、僕はまさにプロッターを買うかどうか悩んでいる今の状況に重ねている。

文具を買うことは、たしかに一瞬の選択だけど、それをどう使い続けるかは、問いを持ち続ける知性にかかっている。そして問いを続けるためには、深く息を吸って、沈み込む時間が要る。

それでも、バイブルが気になる理由

書ける量が、もう少しだけ欲しい

M5では1センテンスにつき1ページが限界。アイデア同士を繋いで書きたいときは、紙面が足りないと感じる。

見開きの感覚が恋しい

打ち合わせや読書メモなどで、少し広く書きたいときがある。

竹尾の紙に書いてみたい

「風光」「アラベール」「オニオンスキンペーパー」──竹尾が手がける紙のリフィルは、バイブルサイズで展開されているものが多い。書くたびに違う感触と出会えるという、あの世界に触れてみたい気持ちがある。


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それでも、まだ買わない理由もある

やっぱりM5のフットワークは軽快で身軽だ。どこにでも連れていけるし、紙面に制限があるからこそ言葉が研ぎ澄まされる感覚がある。

そして──「欲しい」と思ったときに、すぐ手を伸ばさないでいられる自分でいたい。

結論はまだ出ない。でも、問いは続いている

ここまで書いておいてなんだけど、多分、僕はそのうちバイブルを買うと思う。だけど、それが「物欲の衝動に駆られて」ではなく「問いの積み重ねの結論」であってほしいと思っている。

僕にとって文房具とは「欲しい」から「使いこなす」までのあいだにある問いの数だけ、意味が深まっていく存在だ。

その問いを忘れないために、この記事を残しておく。そしてまだ「買うか買わぬか検討中」を続けよう。そして答えを出すのは、もう少し先のことになるだろう。


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