透ける紙に思考が染みこむ──“書く儀式”としてのノート
「透ける紙に、思考を染みこませる」。この記事では、竹尾のオニオンスキンペーパーノートと、パイロット万年筆カスタム743の組み合わせによって生まれた“書く時間”の豊かさについて綴ります。

オニオンスキンノートとは?──紙とペンの対話が始まる
透ける紙、ふわりと軽やかな質感。「オニオンスキン」という名前は、まるで薄く何層にも重なる玉ねぎの皮のようなこの紙に由来しています。
竹尾が展開するこのオニオンスキンペーパーノートは、1940〜50年代の海外文具に見られた“紙へのこだわり”を現代に再現したような逸品。
書くための紙というよりも、むしろ「紙と向き合うための時間」を用意してくれる存在です。
パイロット743と紙が響き合う瞬間
僕がこのノートとともに使っているのは、パイロットのカスタム743(中字/Mニブ)。

このペン先がオニオンスキンの繊維にほんの少しだけ“引っかかる”。
そのわずかな抵抗が、書くという行為に「聴覚的なリズム」と「触覚的な臨場感」をもたらします。音が、あるんです。カリカリ・ザラザラと。
静かな部屋で自分の思考が紙に刻まれていく音が、確かに聞こえてくる。
なぜ“儀式”になるのか──日常に沈殿する思考
このノートに向かう時間は、ただの“メモ”でも、“日記”でもない。予定の確認ではなく、ToDoの整理でもなく、ただ自分の思考がどう動いているのかを眺める。そんな時間。透明な紙に、万年筆のインクがじんわりと染みこみ、裏ページにうっすらと現れる。「ああ、考えたな」「書いたな」っていう痕跡が、物理的に残っていく。
だから僕は、これを“書く儀式”と呼びたい。
オニオンスキンを使う前に知っておきたいこと
この紙には独特のクセがあります。
筆記具によってはインクが裏抜けしやすい
鉛筆やボールペンでは書き心地が軽すぎて味気ない
万年筆なら中字以上のインクフローがしっかりしたペンが好相性

つまり「合うペンを選び、紙に向かう姿勢が求められる」という点で、誰にでもフレンドリーな紙ではありません。けれどそれこそが、オニオンスキンの“スイッチを入れる力”なんだと思います。
まとめ──“思考を紙に預ける”という行為
僕にとって、オニオンスキンノートで書く時間は、“整える”というより“沈殿させる”時間です。
何かを書こう、というよりは、「何が自分の中に残っているのか」を、そっと確かめていくような。
それは、画面を閉じて、通知をオフにして、手を動かすことでしか出会えない感覚。“考える”とは、やっぱり身体を使った行為なんだと、この紙が教えてくれるのです。

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この記事で紹介したオニオンスキンノートとパイロット743は、現在も実際に使用中です。製品の詳細や使用感についてもっと知りたい方は、ペンインフォさんの解説記事もおすすめです(外部リンク)。
オニオンスキンノートはどこで買える?
僕が使っているノートは、竹尾が展開するオニオンスキンペーパーノート(A5サイズ)です。取り扱いは竹尾の直営店や一部の文具専門店、またはオンラインで購入できます。
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