はじめに
こんにちは。文具と「書くこと」の関係を探求するブログ、THINK INK NOWへようこそ。
今回は、僕自身の原点について少し語らせてください。
小学生の頃、筆箱の中に必ず入っていたのが、MONOの消しゴムでした。
45年経った今でも(今現在55歳)、あの白と青と黒のスリーブを見ると、ノートに何度も線を引き、消し、また書いた記憶が鮮やかによみがえります。
現在、僕は物流系の企業で航空貨物の輸出を担当しています。
海外向けの貨物を分刻みで手配し、毎日がスケジュールとの格闘です。
一見、「書くこと」とは縁遠い仕事に思えるかもしれません。けれど、ふと立ち止まった時、こんな疑問が頭をよぎりました。
「俺は“自分の言葉”を、残してきただろうか?」
効率化、デジタル化、スピードが支配する時代。
でも、書いては消すというあの動作のなかに、確かに“自分の声”があったような気がするんです。
そんな思いから、あらためて「書くこととは何か」に向き合ってみたくなりました。
今日は、「書くこと=自分の人生の軌跡」という視点で、
MONOブランドとツバメノートという名品たちとともに、
あなたと一緒に、その意味を考えてみたいと思います。
MONOの消しゴムが、僕のナラティブの原点だった
僕が最初に「言葉と格闘した瞬間」は、たぶんMONO消しゴムと一緒だった。
正解のない作文の宿題に頭を抱え、何度も書いては消し、また書き直していたあの頃。
今思えば、あれこそが“最初のナラティブ体験”だったのかもしれません。
書いて、間違えて、消す。そのくり返しは、まるで人生の縮図です。
それでも前に進んでいくしかない──。僕はMONOの消しゴムにそんな覚悟を教えられた気がします。
MONOgraphシリーズに搭載された繰り出し式の消しゴムは、
あの頃の“消す”という所作を思い出させてくれる存在です。
文具でありながら、記憶を呼び起こす「装置」のような道具なのです。
「書くこと」は、自分自身との対話だった
きっかけは、今朝、日経クロストレンドの記事に目を通したことでした。
🔗《ナラティブの盲点 「過去」抜きの「未来」は共感を得られない》
このタイトルを見たとき、思わず手が止まりました。
ナラティブとは物語。でもそれはフィクションではなく、”自分自身の「時間軸を伴った語り」”
なんだと、気づかされたのです。
たとえば、2006年にTCC賞を受賞したMONO消しゴム(トンボ鉛筆)の新聞広告。
そのボディコピーには、まさに人の心を動かす“ナラティブの力”が宿っていました。

人は、
書くことと、消すことで、
書いている。消しゴムを使う人を見ると、あ、この人はいま、一生けんめい
ただ買っているんだな、と、なんだかちょっと応援したくなります。
自分の思いを、正しく、わかりやすく伝えるにはどう書けばいいのか。
それと真正面から向き合い、苦しみ、迷いながら、でもなんとか
前へ進もうともがいている。消す、という行為には、人間の、
そんな直向きな思いがこもっている気がしてなりません。
文具づくりにたずさわって、まもなく100年。トンボは、
「書く道具」と同じくらい、「消す道具」を大切に育ててきました。
日本の定番と言っていい消しゴム。品質をみがくことで、
大きな市場を切り拓いた修正テープ。そこにあるものを、すばやく、美しく、
カンタンに消し去ることで、この世にほんとうに
生まれてこなければならなかったものが姿をあらわしてくる。
消すことは、また、書くことである、と信じるトンボです。株式会社トンボ鉛筆トンボが動いている。
人が、何かを生み出している。
書くこととは、記憶の中へ消えた(消した)過去をよみがえらせ、それと対話することなのかもしれません。そして、それを将来読み返すだろう、未来の自分への贈り物でもあると思うのです。
1日1行でもいい──“人生の航跡”を紙に残すということ
毎日忙しい。時間がない。書くヒマなんてない。
そんな声はよく聞きます。僕自身、そう思っていました。
でも、あるとき試してみたんです。
“1日1行だけ書く”という小さな習慣を。
「今日はよくやった」「もう少し早く寝よう」「あの人にありがとうを言えた」──
ほんの一言でも、それが数日、数週間と続いたとき、不思議なことが起きました。
自分の“考えの軌跡”が見えるようになったんです。
ツバメノートの小さなA6ノートは、そんな習慣にぴったりでした。
カバンの中にすっと入るコンパクトさ。ページ上部の赤いラインが、なぜか毎日開きたくなるんです。
上質紙でゲルインクも滲みにくく、書き心地も抜群。
思わず「今日も1行、書こうかな」と思わせてくれます。
書くことを支えてくれる、ふたつの道具
最後に、僕が実際に使っているふたつの文具を紹介しましょう。
■ MONOgraph シャープペンシル&ボールペン(0.5mm)
ニードルチップの繊細さが、小さなノートにもぴたりとフィット。
手帳や狭いメモ帳にもしっかり書けるのが嬉しい。
繰り出し式の消しゴムも、地味ながら実はとても便利で、
“書いて、消す”という動作に対する誠実さを感じさせてくれます。


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■ ツバメノート A6横罫(72ページ)
クラシックな装丁と赤い罫線が、どこか懐かしい。
それでいて、どんな筆記具でも受け止めてくれる安心感。
小さいけれど、「これ1冊あれば、何かが始められる」──
そんな気持ちにさせてくれる、頼れる存在です。


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書くことは、きっと「未来を選ぶ」行為なんだ
誰かに読まれるわけでもない、たった1行。
それでも、書いた自分だけは知っている。
あの日、自分が何を思っていたのか。何を選ぼうとしていたのか。
そうした「小さな記録」が、
あとで振り返ったときに“人生の軌跡”になる。
それこそが、自分にしか描けないナラティブなんじゃないかと思います。
MONOブランドの筆記具と、ツバメのノート。
このふたつが揃えば、きっとまた“自分だけの物語”が少しずつ始まるはず。

今日も1行、書いてみませんか?
未来のあなたは、きっとそれを読みに戻ってくれますよ。
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🔗“命日”を手帳が生み出す──忘れたくない感情に日付を与えるということ
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note版スピンオフエッセイのご案内
また”ナラティブ=語り”から着想を得た「書くこと」の
“スピンオフエッセイ“をnoteに書いています。
こちらもご覧いただければ誠に幸いです。
どうぞよろしくお願いします。
🔗ナラティブにこそ、人生の豊かさは宿る。
<ハスヌマゴロー(蓮沼五朗)発信のnoteから>
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