瞬記とは?|“今”の気持ちを素早く書き出す習慣
「瞬記」とは、頭に浮かんだことを“その瞬間”に紙に書き出す、新しい書く習慣です。いわば、日記やジャーナリングと似ているようでいて、もっとライトで気軽。深く考え込まず、感情や思考の断片をそのまま書きとめる──それが“瞬記”の本質です。
たとえば、モヤモヤした気持ち、ふと浮かんだアイデア、街中で目にとまった風景や言葉。それらを「あとで書こう」ではなく、“今すぐ書く”ことで、自分の内側にあった感情が言葉という形を得て、少しずつ整っていく感覚があります。
これは、スマホでメモを取るのとは違い、紙とペンを使うことで心と手がつながるという感覚を得やすいのも特徴です。実際、手書きには脳を活性化し、感情を落ち着かせる作用があるともいわれています。
ジャーナリングとの違いとは?
“瞬記”とジャーナリングは近い概念です。ただし、瞬記は「構えずに、すぐに書ける」ことをより重視しています。数分で完結できるから、日々の忙しさの中でも続けやすく、「タイパ重視」の現代人にもフィットします。
以下の動画では、文房具ジャーナリスト・土橋正さん(Pen-info)による瞬記の実践と考え方が丁寧に紹介されています。ぜひ参考にしてみてください。
参考動画:「瞬記」の書き方|pen-info 土橋正さんのYouTubeから
おすすめ文具3選|“瞬記”にちょうどいい相棒たち
瞬記は、思い立った瞬間にペンを走らせることが大切です。そのためには、「すぐに書ける」「ストレスがない」「手に取りやすい価格」であることが、文具選びのポイントになります。
ここでは、筆者が実際に愛用している、“瞬記”にぴったりの3つの文具をご紹介します。
uni-ball one|ペン先が走り出す、気持ちも動く
「uni-ball one(ユニボール ワン)」は、三菱鉛筆が手がけるゲルインクボールペンです。瞬記のように“すぐに書きたい”シーンにぴったりの、軽やかな書き心地が魅力。
特に黒インクは発色が濃く、紙面に残る文字がはっきりしていて、自分の思考が目に見える実感があります。手帳やノート、コピー用紙など、どんな紙にもよく合う汎用性の高さも特徴。
価格も100円前後と非常にリーズナブルで、学生から社会人まで幅広く愛されています。瞬記を始めたいけれど、最初から高価な文具をそろえるのは…という方にもおすすめです。

ラミー サファリ|万年筆ビギナーの救世主
「LAMY safari(ラミー サファリ)」は、ドイツ生まれのエントリー向け万年筆です。筆圧をかけずともスラスラとインクが流れるため、頭に浮かんだ言葉をストレスなく書き出すことができます。
透明インク窓付きのデザインや、豊富なカラー展開も魅力。持ちやすさを考慮したグリップ形状も、万年筆初心者には嬉しいポイントです。
価格は4,000円前後からと手頃で、万年筆ならではの「書く楽しさ」を味わいたい人にぴったり。インクを変えることで気分転換にもなるので、気分の浮き沈みを記録する“瞬記”にもうってつけです。

ロルバーン|開けばすぐ“書きたくなる”ノート
「ロルバーン(Rollbahn)」は、手のひらサイズからA5サイズまで展開される、リング式ノートの定番ブランド。表紙のデザインやカラーバリエーションも豊富で、自分だけの“瞬記ノート”をつくるのに最適です。
最大の魅力は、方眼+ミシン目+ポケット付きという“痒いところに手が届く”仕様。思いつきをどんどん書き留め、必要なら切り取ったり分類したりもできるため、即興性と整理性のバランスが絶妙です。
リング式なので180度パタンと開けて、どこでもすぐに書き始められるのも大きな強み。ペンとの相性も良く「uni-ball one」も「ラミー」もスムーズに走ります。

習慣化のコツ|“続けられる瞬記”のためにできること
1日1行でもOK。完璧を目指さない
瞬記の魅力は「うまく書こうとしなくていい」ところにあります。
長く書こうとすると構えてしまうので、まずは1日1行だけ書く、それで十分です。
「今日は晴れて気持ちがよかった」「仕事が思ったより進んだ」──
そんな小さな気づきや感情でも、書き出すことで心の動きが視覚化され、少しずつ自分を客観視できるようになります。
書くタイミングを決める。おすすめは“夜3分”
生活リズムの中に“瞬記タイム”を組み込むことで、自然と習慣化が進みます。
とくにおすすめは寝る前の3分間。
スマホを置き、静かな時間に自分と向き合うことで、1日の振り返りと心の整理ができます。
不安や緊張を書き出しておけば、ぐっすり眠れることも少なくありません。
お気に入りの文具が「続ける理由」になる
瞬記を継続するうえで意外と大きいのが、「書きたくなる道具を持つこと」です。
たとえば、uni-ball oneの鮮やかな発色と滑らかな書き味、ラミーサファリのスチールニブ(ペン先)が擦れるサリサリ音、書こうとするときロルバーンノートを開いたときの“パサっ”という音──そのひとつひとつが「今日も書こうかな」と思わせてくれる、小さなモチベーションになります。

まとめ|“書くこと”が、心の調律になる
人間が1日の中で経験することを言語化すると約50万字、文庫本 約1冊の分量になるといわれます。それほど私たちは日々、多くの感情や思考にさらされています。忙しさに流され、心のざわめきを気づかぬまま過ごしてしまうことも少なくありません。メンタルは無意識のうちに、外界の情報の波に侵蝕されているのかもしれません。
そんな中で“瞬記”は心を整えるシンプルな手段です。大げさな準備もいりません。必要なのは、ペンと紙と、少しの時間だけ。
- 手に取ればすぐ書ける uni ball one
- 書くことそのものが楽しくなる ラミー サファリ
- 思いつきとともに開けるノート ロルバーン
この3つの文具は、どれも“瞬間を逃さず書く”という目的にぴったりの相棒です。
完璧でなくていい。誰かに見せるわけでもない。わずか5分、ほんの数行でも、気持ちを書きとめることで、心は少しずつ落ち着き、澄んでいく──
“書くこと”は、心の調律。
だからあなたもペンを手に取ってみませんか?
そんな書く仲間が増えることを心から願って、この記事の結びといたします。それではまた。
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