“書くこと”が始まる場所──蔵前カキモリで出会った三つの道具

蔵前カキモリの看板と青空を背景にしたヘッダー画像。「“書くこと”が始まる場所」というタイトルとTHINK INK NOWのロゴ入り ノート・手帳
書くこと」が始まる場所──カキモリで見つけた三つの道具が、僕の毎日を少しずつ変えてくれた。

蔵前の静かな路地に、“書く人”を迎える場所がある

蔵前にある文具店「カキモリ」の店舗外観
落ち着いた路地に佇む、蔵前カキモリ。ガラス越しに文具が並ぶ店内が見える

「楽しく、書く人。」の看板に導かれて

静かな路地に灯る、書く人のための明かり

東京・蔵前にある「カキモリ」という文房具店に行ってきまた。

店舗は蔵前駅から徒歩10分ほど。交通量の多いメインの通りから少し離れた細い道沿いにあり、外観はガラス張りで中の様子がよく見えます。

ドア横に掲げられた「たのしく、書く人。」というコピーが印象的。

ここが、ただの文房具屋ではないことを示している気がして、ドアを開ける少し前から、胸の鼓動が早くなっているのが分かりました。

酸いも甘いも噛み分けたつもりでいる、50過ぎのオジサンの僕を、完全に少年時代に戻してくれましたね。


まず手にしたのは、世界に一冊の“自分だけのノート”

カキモリで作成したオーダーノートの表紙。青の線画が描かれた布張りのデザイン
カキモリのオーダーノートは「世界に一冊だけ」を、蔵前でつくる他では味わえない貴重な体験。
カキモリオーダーノートの裏表紙。生成り色の厚紙とヌメ革調の質感が特徴的
裏表紙には、落ち着いた生成り色とヌメ革のような質感。日常にすっとなじむ後ろ姿。

布や紙、すべて自分で選ぶという贅沢

ノートをつくることは、自分を編むこと

最初に体験したのは、カキモリ名物のオーダーノート。

表紙・裏表紙・中紙・リング・留め具・ゴムバンドまで、すべて自分で選べます。僕はB6サイズを選び、トップの用紙にはクリーム色の方眼紙を選択。

表紙には、青の線画が描かれた柔らかい布地を選びました。

スタッフさんと相談しながら進めるこの工程がすごく楽しくて、まるで自分の「書く時間」を設計しているような気持ちになりましたね。

完成したノートは、単なる文房具ではなく、僕の気分や思考を記録する“箱”になりそうな予感がします。


関連記事:気分を切り替えるインクの力については、書くことで心を整える文具を紹介した[“瞬記”にフィットする文具]でも詳しく書いています。

▶️心を整える“瞬記”という営み|毎日続けたくなる書く習慣と3つの道具をご紹介


次に惹かれたのは、“書く”という行為を支える道具たち

カキモリオリジナルのコンパクト万年筆。軸は曇りがかった透明の色合い。字幅はM。
カキモリのオリジナル万年筆 透明軸 字幅M「サリサリ」と紙をなでる、心地よい書き味。

コンパクト万年筆に宿る“芯のあるやさしさ”

ペン先が心をほぐす、試し書きの時間

店内の一角には筆記具も豊富に並んでいて、試し書きもできます。

その中で手に取ったのが、カキモリオリジナルのコンパクト万年筆でした。

字幅はM。スチールニブながら、意外なほどしっかりとした書き味。

軽量で持ち運びしやすく、それでいて筆圧に対してほどよい抵抗感がある。

スタッフさんが「書き味は“サリサリ”って音が合います」と教えてくれたが、確かにそれが一番しっくりくるなぁーと。

カリカリでもなく、ツルツルでもなく──

このサリサリ感は、気負わずに言葉を綴りたいときにぴったりです。


関連記事:書き味の違いに興味がある方は、高級万年筆の世界を綴った[パイロット カスタムURUSHI レビュー]もどうぞ。

▶️カスタムURUSHI徹底レビュー|パイロット最高峰万年筆 30号ニブと漆軸の書き味とは?


色に宿る物語──カキモリのインクたち

この青があれば、心に晴れ間がのぞきます。
この雨上がりの空のような、青い色のインクがあれば、心に晴れ間がのぞきます。

名前に“情緒”を宿すインクたち

「からり」に出会って空を見上げた

最後に選んだのは、インクでした。

カキモリのオリジナルインクは、色だけでなくネーミングとコピーにも力が入っています。

たとえば「ぽっ」「とろり」「ざぶん」など、一言に感情や景色が込められていて、それを見るだけでも楽しい。

僕が選んだのは「からり」でした。

“どこまでも晴れ渡った空のように、すがすがしく。この青が手元にあれば、心に晴れ間がのぞきます。”

というコピーに思わず微笑んでしまい、「これにしよう!」って決め手になりました。

実際の色は、やや黄みのある明るめのブルーで、文字を書いたあとにほんの少し余白が広がるような印象を与えてくれます。

気分転換したいときや、手紙の一行目に選びたくなるインクですよ。


「買った」だけではない、“言葉”を手に入れた日

文具は“買う”ものから“感じる”ものへ

書くことが、明日を少し軽くしてくれる

カキモリのノートに「THINK INK NOW」と万年筆で手書きしている様子。インクは「からり」
自分の手で言葉を書く。その行為が、明日をちょっとだけ軽くしてくれる。

今回の訪問で僕が手にしたのは、ノート・万年筆・インクの3点。

どれも「ただ使うため」ではなく、「書くことそのものを楽しむため」に存在している気がしてなりません。

思えば、僕が文房具を好きになったのも、「書くこと」が好きだったからだと。

そしてカキモリは、そんな気持ちを思い出させてくれる場所でした。

日常の中で、ちょっと立ち止まって書く。

その時間を自分でデザインできる道具たちに出会えたのは、すごく深い意味のある貴重な体験だったとの余韻に浸っています。

そしてその余韻に包まれた頭と、お店で試し書きをした感触が残るこの手で、ブログの記事を一気に書き上げました。

今日は本当にいい一日を過ごせました。

今回、お迎えした文具たちと言葉を紡いでいく、これからすごく楽しみです。

それではまた。


取材の舞台裏をnoteで公開中。

写真撮影の許可をとったときの話、キャップが開かなくて焦った夜のこと…。感情やエピソードを綴ったnote版も、よろしければどうぞ。

🔗 書く人として、あの階段をのぼる|noteを見る


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