先日、ライティングの仕事に関する面談で「納期を守るために大切にしていることはありますか」と聞かれました。
僕は「夏休みの宿題にしないことです」と答えました。
締め切りの直前にまとめて取り組まず、初日から毎日少しずつ進める。この進め方は、ライティングスクールで講師から受けたアドバイスです。課題に取り組むなかで、僕自身も、書き上げた後に読み直す時間を残すことの大切さを実感しました。
推敲して、一晩置き、翌日にまた読み直す。すると、書いたときには気にならなかった過剰な表現や、話のつながりのおかしさに気づくことがあります。
この記事では、その時間を残すために、締め切りまでをどう過ごしているのかをお話しします。インタビュー記事での経験が中心ですが、報告書や提案書などにも使える部分があると思います。
実際に書いた記事は、こちらからご覧いただけます。

この記事のポイント
締め切りまでに、読み直す時間も確保する
文章の仕事では、約束した日までに原稿を渡すことが求められます。そのためには、依頼を受けた段階で、納品までに必要な作業を考えておく必要があります。
インタビュー記事であれば、取材した内容を整理し、取り上げる話題を選び、構成を考えて文章にまとめます。文字数に限りがあるので、聞いた話をすべて載せることはできません。取材相手が伝えたいことに加え、記事の目的や、読者に知ってほしいことも考えます。
こうして原稿の形にしてからも、確認することは残っています。
書いた直後は、自分が何を伝えようとしたのかを覚えています。そのため、文章に書かれていない情報まで、頭の中で補って読んでしまいがちです。自分にはつながって見える話も、初めて読む人には唐突かもしれません。
そこで、原稿から少し離れて、読み直す時間を取ります。締め切り当日まで執筆が続けば、その時間は短くなります。
提出日が決まったら、いつまでに一度原稿を形にし、いつ読み直すのかも考える。書く作業と確認する作業の両方を、予定に入れるようにしています。
今日は「見出し」だけ並べてみる
締め切りまで日数があると、まだ始めなくても大丈夫だと思いがちです。しかし、手をつけてみなければ分からないこともあります。
構成ではつながっていた話が、文章にすると分かりにくい。説明しようとして、自分の理解が曖昧だったと気づく。早く始めることで、そうした箇所を確かめる時間が取れます。
毎日少しずつ進めるといっても、同じ文字数を書く必要はありません。
取材音声を聞く日もあれば、文字起こしから使いたい発言を選ぶ日もあります。見出しを並べたり、前日に書いた段落を直したりすることも、原稿を進める作業です。
まとまった時間が取れない日は、「今日は見出しだけ並べてみる」でもよいでしょう。報告書なら、伝えるべき事実と、まだ確認できていないことを書き出すところから始められます。
会社員として本業がある僕には、原稿に使える時間が限られています。まとまった時間が取れない日も、30分だけ作業を進めます。それも難しい日は、5分だけでも原稿を開きます。原稿に触れておくことで、次に取りかかるときの負担を軽くしたいからです。続けてみて分かったのは、少しでも書き始めると、気分が乗ってくることです。
今日のうちに少しでも形にしておけば、明日はそれを読み直せます。一晩寝かせるためには、その前に、読み直せるものを作っておく必要があります。
書き終えたら読者視点と元の資料で確かめる
一晩置いたからといって、原稿が自然によくなるわけではありません。翌日に何を確かめ、どう直すかが大切です。読み直すときは、まず初めて読む人が、話の流れを追えるかを意識します。例えば、次のような点を確認します。
- 前の段落と、話が食い違っていないか。
- 強く言い切りすぎている表現はないか。
- 同じ内容を、違う言葉で繰り返していないか。
- 話題が変わるところで、必要な説明を省いていないか。
- 誰について書いているか、途中で分からなくなっていないか。
短く整えるときも、読者に必要な説明まで削ってしまわないように気をつけます。インタビュー記事では、取材相手の発言と、僕自身の解釈が混ざっていないかも確かめます。僕の受け止め方を、取材相手が話したこととして書いてはいけません。
条件をつけて話していたことから、その条件を落としていないか。離れた箇所の発言を無理につないで、違う意味にしていないか。判断に迷うときは、音声に戻って前後のやり取りを聞き直します。
その際には、発言の内容とともに、話し方や言葉の選び方にも耳を向けます。文章を整えるなかで、取材相手らしさを消してしまっていないかも考えるからです。プロフィールや公開資料は、経歴や話の背景を確かめるために読み直します。それでも分からないことは、推測で埋めず、確認事項として残します。
報告書や提案書でも、読みやすさを見直した後に、数字や日付、説明の根拠を元の資料と照合する方法は使えると思います。
元の資料に戻って確かめることの大切さは、AIを使うなかでも実感しました。AIの回答に違和感を覚えて元の資料を確認したところ、取り違えていたのは、僕自身が渡したファイルでした。確認する対象には、自分の作業も含まれる。そう気づかされた出来事です。

推敲を重ねることで、なぜこの発言を選び、この順番にしたのかを、自分でも説明できるようになります。原稿を渡した後に質問や修正の依頼があれば、音声や資料を確かめながら対応します。納品前に十分に確認し、その後のやり取りにも責任を持つことを大切にしています。
120%の力で書き、3回の推敲で、はじめて記事は他人に届けられる。そうスクールで教わりました。まさにその通りです。
原稿を受け取る人の時間も考える
面談では、納期より1日早く原稿を渡すことも、後工程の人たちのためになるのではないかと話しました。原稿を書き終えても、記事に関する仕事は続きます。内容を確認する人がいて、修正を依頼し、公開に向けて準備する人がいます。
確認する時間があれば、疑問点を整理して、ライターに問い合わせることができます。僕自身も、音声や資料を確かめ直す余裕を持ちやすくなります。もちろん、早く渡すことだけを優先して、確認が不十分な原稿を送っては意味がありません。
依頼を受けたときに、提出日と、その後の確認の流れを共有しておくことが必要です。この考え方は、以前の記事で書いた「仕事の範囲を確かめること」にもつながっています。

すべての文章を一晩置けるわけではありません。それでも、時間を取れる仕事では、最後まで書くことだけで予定を埋めないようにしています。一晩置くと、昨日の自分の文章に、少し違う目を向けられることがあります。
その機会を残すために、今日できるところから手をつける。スクールで学び、自分でも必要だと感じたこの進め方を、これからも続けていきます。
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