「この道だけではない」と思えることも、豊かさだ

複数の道に分かれる矢印を進む人物と「この道だけではないと思えることも、豊かさだ」というメッセージ 思考ノート|都市・仕事・人
「この道だけではない」と思える選択肢を持つこと。それもまた、自分を豊かにする一つの方法だと思う。

今朝、日本経済新聞を読んでいて、ある言葉に目が止まった。

「誰かのせいにしない」

記事では、物価高やインフレによって資産を持つ人と持たない人との格差が広がっていることや、若い世代の政治意識について論じられていた。 

もちろん、貧困や格差をすべて個人の責任に帰すべきだとは思わない。政治や社会の仕組みで解決しなければならない問題は、いくらでもある。

それでも「誰かのせいにしない」という言葉は、僕自身の生き方を考えるきっかけになった。

「おかしい」と思う気持ちは、なくさなくていい

社会に出て働いていれば、「おかしい」と思うことに何度も出会う。

物価は上がる。けれど、給料が同じように上がるとは限らない。年齢を重ねれば、老後や年金について考える機会も増える。

会社の中にも、自分一人ではどうにもならないことがある。だから、不満を持つこと自体が悪いとは思わない。むしろ「何かがおかしい」と感じる感覚は持っていたい。

ただ最近は、その先について考えるようになった。

誰かを批判したり、何かに腹を立てたりすることにも、かなりのエネルギーを使う。だったら、そのエネルギーの一部だけでも、自分を豊かにする方向へ使えないだろうか。

僕にとっての問題は、身体だった

僕は脚に故障を抱えている。

都内の大きなターミナル駅で乗り換えるだけでも、かなりしんどい。一日8時間のデスクワークを終えるころには身体が痛み、帰宅してからしばらく横にならなければ、夕食もままならないことがある。 

これを「なぜ自分だけが」と嘆き続けることもできる。しかし、それで身体が元に戻るわけではない。では、この身体でこれからも働き続けるには、どうすればいいのだろう。

体力が落ちていくことを前提に、それでも続けられる仕事はないだろうか。そんなことを考えた先にあった答えの一つが「書くこと」だった。

50代から「別の道」を模索してみる

僕は50代になってから、改めて文章を書くことを学び始めた。

ブログを運営し、取材やライティングを学び、会社員を続けながら「書くこと」を仕事につなげようとしている。

もちろん、まだ道半ばだ。

これで将来が安泰になる保証など、どこにもない。それでも、自分ではどうにもならないことに不満をぶつけ続けるより「この状況で自分に何ができるだろう」と考えている方が面白い。

給料が上がらないなら、複数の収入源を持つ方法を考える。将来が不安なら、少額からでも資産形成を始める。会社だけに依存することが不安なら、会社の外でも使える力を身につける。

僕自身、NISAや確定拠出年金などを利用しながら資産形成について学び、副業ではライティングという新しい仕事に挑戦している。 

いわば、自分自身を使った実験である。社会への反発に使っていたエネルギーを、現状の中で自分を豊かにするエネルギーへ変換できるのか。

まだ答えは出ていない。いまも模索している。

「自分で動く」と「自己責任」は違う

ここで誤解したくないのは、「努力すれば誰でも何とかなる」と言いたいわけではないということだ。病気や障害、家庭環境、雇用、所得など、個人の努力だけでは解決できない問題はある。

だからこそ、社会保障や再分配といった政治の役割は必要だと思う。選挙にも行くし、社会で何が起きているのかにも関心を持っていたい。 

一方で、政治や社会が変わるまで、自分の人生まで止めておく必要はない。世の中がすぐには変わらなくても、自分で動かせるものはある。

僕は最近「自分で動かせるもの」と「自分では動かせないもの」を分けて考えることが、大切なのではないかと思っている。変えられないものに関心を持ちながら、変えられるものには自分の頭と手を使う。

僕にとって、その一つが「書くこと」だった。

豊かさとは「ほかの道もある」と思えること

世の中を自分の思い通りに変えることは難しい。会社だって、自分一人の都合では変わらない。しかし、自分の時間を何に使うのかは、ある程度自分で決められる。何を学ぶのかも選べる。

少額であっても、何にお金を使い、どこへお金を回すのかを考えることもできる。そうやって自分の「時間」と「お金」を使い、少しずつ選択肢を増やしていく。

僕が考える「豊かさ」とは、お金の多さだけではない。知識が増えること。できる仕事が増えること。収入源や資産が少しずつ増えること。

そして何より「この道だけではない」と思えることだ。 

会社しかない。この仕事しかない。この収入しかない。そう思っていると、一つひとつの不満や不安が大きく感じられる。

けれど「ほかの道もある」と思えれば、目の前の景色も少し違って見えるのではないだろうか。社会への反発に使っていたエネルギーを、現状の中で自分を豊かにするエネルギーへ変換する。

世の中に関心を持ちながら、自分で動かせるところは自分で動かす。僕自身、まだその途中にいる。だからこそ、これからどうなるのかを試してみたい。

「この道だけではない」と思えること。

それもまた、僕にとっての豊かさなのだと思う。

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