AIを疑う前に、自分のプロンプトを確かめる──回答の違和感で気づく「ファイル」の取り違え

「AIを疑う前に、自分のプロンプトを確かめる」の文字と、AIの画面を開いたパソコンの前で二つの資料を虫眼鏡で見比べるイラスト。 思考ノート|都市・仕事・人
AIの回答に違和感を覚えたら、自分が渡したプロンプトや添付資料も見直してみる。

先日、副業について会社に問い合わせる文章を作るため、GPTに就業規則のファイルを渡しました。規程の内容を確認しながら、自分が聞きたいことを整理するためです。

こうした作業で、AIは頼りになります。資料を読んでも、どこを押さえて、何を質問すればよいのか迷うことがあります。GPTとやり取りすると、考えていることを文章にしやすくなります。

ところが、回答を読んでいるうちに、条文の扱いに違和感を覚えました。僕が確認していた内容と、GPTが示した内容が違っていたのです。

そのまま問い合わせ文に使うわけにはいきません。元の資料に戻って、確かめる必要がありました。

確認する側の僕も、間違えていました

AIの回答に疑問を持ち、自分で一次情報を確認する。このときは、その大切さを改めて感じていました。

しかし、話は「AIの答えを確認してよかった」だけでは終わりませんでした。僕がGPTに渡した就業規則と、手元で確認していた就業規則が、そもそも違っていたのです。

GPTの回答を疑っていた僕が、ファイルを間違えて送信していました。

振り返ると、回答を読むときには「この内容で合っているだろうか」と考えていました。それなのに、自分が渡した資料については、正しいものだと思い込んでいました。

心理学では、自分の判断の正確さに過度の確信を持つことも「過信(※)」として説明されています。今回の僕の思い込みも、それに近かったのかもしれません。

もちろん、ファイルを取り違えたという一つの出来事だけで、自分の心理を言い切ることはできません。それでも、AIの回答には疑いの目を向けたのに、自分が送信したファイルには同じ目を向けていなかった。その違いは、考えておきたいと思いました。

渡した資料が違えば、回答の前提も変わってしまいます。自分の手元の資料と回答を見比べるだけでは、違いが生まれた理由を見落とすこともあります。

回答に問題があったのか、渡した資料に問題があったのか。それぞれを確かめる必要がありました。今回は、AIを確認する側の僕も、確認の対象になったのです。

文章が整うことと、内容を確認すること

AIと文章を作っていると、考えが整理され、作業が進んでいく感覚があります。言いたかったことが読みやすい文章になると、それだけで一区切りついたようにも感じます。

ただ、文章が読みやすいことと、その内容を使ってよいことは、別に確かめなければなりません。

今回の問い合わせ文も、文章として整っていても、確認したい規程と違う資料を前提にしていれば、見直しが必要です。言い回しを直すだけでは済みません。

僕自身、文章を仕上げようとして、言葉の選び方や読みやすさに注意が向くことがあります。その前に確かめるべきことを、済ませたつもりになっていないか。今回の出来事は、そう考えるきっかけになりました。

回答に違和感を覚えなければ、資料の取り違えにも気づかなかったかもしれません。違和感があったことで、いったん作業の出発点に戻ることができました。

資料、質問、回答を順に見直す

今後、同じような作業をするときは、まず渡す資料を確認したいと思います。

自分が知りたいことに対応する資料なのか。対象や日付は合っているのか。手元で読んでいるものと、AIに渡すものは同じなのか。文章を作り始める前に、ここを確かめます。

プロンプト(指示文)だけでなく、添付する資料も含めて、AIに何を渡しているのかを確認することが大切だと感じました。

続いて、プロンプトを見直します。

自分は何を知りたいのか。資料のどの部分を確認したいのか。そこが曖昧なまま、文章の作成を頼んでいないか。自分の目的を言葉にすることも、必要な準備だと思います。

回答を受け取ったら、重要な箇所は元の資料に戻って確認します。今回のように条文を扱うのであれば、どの記述をもとにしているのかを見比べます。

違いが見つかったときには、回答だけを直そうとせず、渡した資料と質問も見直します。今回の僕は、回答を確認するところから始めて、ようやく資料まで戻りました。次は、最初からその順番を意識したいところです。

毎回すべてを同じ細かさで確認するのは難しいかもしれません。それでも、今回のように会社へ送る文章で、規程を根拠として使う部分については、確認を済ませてから使いたいと思います。

AIを使いながら、自分でも読む

今回のことがあっても、AIに文章の整理を手伝ってもらいたいという気持ちは変わりません。やり取りすることで、自分の考えが見えてくることもあります。

その一方で、何を渡し、何を頼み、できた文章をどう使うかは、僕自身が考えることです。資料を選ぶところから、回答を確かめるところまで含めて、一つの作業なのだと思います。

読む、書く、考える。AIを使うなかでも、その作業を続けていきたいと思っています。

今回は、GPTの回答を疑ったことで、自分の思い込みにも気づきました。「自分が渡した資料だから大丈夫」と考えていたところに、見落としがありました。

次に違和感を覚えたときは、目の前の答えとともに、自分が渡したものにも目を向けようと思います。

(※)参考:米国心理学会「APA Dictionary of Psychology」overconfidence

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