はじめに
「蛍光ペンは万年筆には合わないなぁ」──以前から、そんなことを感じていました。
日付を赤で書くのは良いとしても、仕事中のメモで「ここ大事」「あとで確認」と色を変えるのは、意外と手間がかかります。でも、後から見直したときに大事な箇所を囲った、赤の発色が目に飛び込んでくる。そして、思考が整理される。
しかし蛍光ペンは少しギラついてうるさい感じがするし、万年筆の筆跡と接触すると滲んで汚くなる。それじゃ一体、何で色をつけたらいいか?
そんな悩みを解決してくれたのが、今回ご紹介する「ダーマトグラフ」という筆記具でした。

ダーマトグラフとは?
ダーマトグラフは、芯を紙巻きで包んだ色鉛筆のような筆記具。三菱鉛筆をはじめとするメーカーが古くから製造しており「紙巻き色鉛筆」や「グリースペンシル」と呼ばれることもあります。

見た目は素朴ですが、その用途は広く、ガラス・金属・プラスチック・写真フィルムなど、ほとんどの素材に書ける万能選手。
「くるくる回して」紙をむき芯を出す仕組みも独特で、どこか懐かしい手仕事の感覚を残しています。

ダーマトグラフの魅力と楽しみ方
前述した通り、削らなくていい。どこでも書ける。──それがダーマトグラフのいちばんの魅力です。
手帳やノートに少し色を添えたいとき、カラーリングで気分を変えたいとき。そんなとき、ダーマトグラフは絶妙にフィットします。万年筆インクの隣で“差し色”として活躍してくれる存在です。
発色はやわらかく、どこか温もりがある。蛍光ペンのように主張しすぎず、それでいてしっかりと視線を誘導してくれる。レトロな紙巻きデザインも手に取るたびに気分が上がります。
私は赤で「今日の予定」、あいいろは「MEMO」、グリーンは「カード利用」を四角く囲っています。インクと紙の境界を軽やかに越えていける、そんな“遊び心”のある一本です。

また、読書の際のラインマーカーにもダーマトグラフの優しい「色調」はピッタリです。

おわりに──手帳にひとさじの自由を
ダーマトグラフを使うようになってから、手帳に「ちょっとした余白の楽しさ」が生まれました。
きっちり書くことだけが大事じゃない。ときには、線を曖昧に、色を柔らかくすることで、思考の呼吸が整うこともあるのです。
蛍光ペンほど強くない。でも鉛筆より優しい。

その中間にある曖昧さこそが、日々のノートにちょうどいい。
無味乾燥となりがちな「スケジュール帳」に、ほんの少し色味をつけ足す。そんなとき、ダーマトグラフはきっと役に立ちますよ。
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