はじめに──ブランドとは何か?
ブランドとは何か。
この問いに対して、僕は長い間「感覚的な理解」しか持てずにいました。ロゴやデザインだけではないことは分かっている。しかし、では具体的に何を指すのか──その輪郭はどこか曖昧なままだったのです。
そんなモヤモヤを言語化してくれたのが、山口義宏氏の『デジタル時代の基礎知識 ブランディング』でした。本書では、ブランドを次のように定義しています。

「ブランドとは、識別記号と知覚価値が結びついたもの」
これは非常にシンプルでありながら、多くの示唆を含む言葉です。どれほど優れた商品やサービスであっても、「知られていない」「価値として認識されていない」のであれば選ばれない。
ブランドとは、単なる名称や外見ではなく、「意味が結びついた状態」そのものだということになります。
この定義に出会ったとき、僕の中で霧が晴れるような感覚がありました。
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山口義宏氏のブランディング論──「認識される価値」という視点
本書の特徴は、ブランドを“感覚”や“雰囲気”ではなく、非常にロジカルに捉えている点にあります。
- Brand Identity ブランドの「識別記号」
- Brand Value ブランドの「知覚価値」
この2つが接続した総体を指すのがブランドであると。
そのため、マーケティング施策やコミュニケーションはすべて「知覚価値をどう設計し、どう届けるか」という問いへと収斂していきます。
また、本書はブランドが持つ力を
ブランド力=体験の魅力度✖️体験の量・時間✖️体験の一貫性
「ブランド」(山口義宏著/翔泳社) 36ページから引用
と明確に述べていることです。そこには、ブランドを作りたい側の意図と設計が必要であり、同時に長期的な視点が不可欠だという冷静な認識があります。
ブランドは、時間の中で静かに形成される「価値の物語」である。この感覚が、僕の中で強く腑に落ちました。
僕なりの解釈──ブランドは「意味の積層」である
山口氏の本から得た着想を踏まえて、僕自身の言葉で整理した結果。
ブランドとは、
一定の時間の中で、積み重ねられた「意味の層(レイヤー)」である。
ということではないかと考えました。
ブランドと聞いて「マーク」や「ロゴ」をイメージしがちですが、それはブランドの表層にある”記号”にすぎません。
その下には、
- 体験
- 記憶
- 感情
- 期待
といった無数の要素が静かに積み重なり、その名前を見たときに何を思い出すかという「意味の束」をカタチづくっています。ブランドとは「意味の総体」であり「時間の堆積物」でもある、と。
この視点は、個人メディアを運営する僕にとって、大きな示唆を与えてくれました。
THINK INK NOWという小さなブランド
THINK INK NOWは、大規模なメディアでも、企業でもありません。ただの個人ブログです。
それでも、発信を積み重ねるうちに、
「THINK INK NOWと聞いて、どんな世界観を想起させられるか?」
という問いが、自然と自分の中に生まれてきました。
それに対するレスポンド(応答)は、
- 文房具の手触り
- 書くことでととのう
- 思考が整理される感覚
- 誠実で哲学的な文章表現
これら一つひとつが、THINK INK NOWの“意味の層”を形成しているのだと感じています。
ブランドは宣言して作るものではない。むしろ、日々の行動から自然発生的に「生まれてしまうもの」なのかもしれません。
個人メディア運営にとってのブランド価値
ブランドという視点を得たことで、僕のブログ運営は変わりました。
今日書いた一本の記事が、今日撮った一枚の写真が、今日の小さな反応が、すべてブランドの意味層として積み重なっていく。
そう考えると一つひとつの発信が、とても愛おしく感じられるようになります。そして何より、「自分は何を伝えたいのか」という問いから逃げなくなる。
これは、個人メディアを長く続けていくうえで、とても大切な視点なのだと思います。
おわりに──意味を重ねて生きていく
山口義宏氏の本は、ブランドを神秘的なものとしてではなく「作り出す(設計する)もの・育てていく(届けていく)もの」として丁寧に読み解いていました。
そこに込められた視点は、企業だけでなく、個人で発信する僕たちにもそのまま当てはまります。ブランドとは、ただの記号ではない。意味の積層であり、時間の推移であり、信頼のカタチでもある。
THINK INK NOWという小さなブランドの積層にも”確かな価値”が宿るように。今日もまた誠実に文章を積み重ねていきたいと思います。
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