【THINK INK NOW BOOKs】世界情勢を「分かる」ことから始める──池上彰『第三次世界大戦 日本はこうなる』レビュー

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「第三次世界大戦」という言葉を、僕たちはどれくらい現実のものとして受け止めているだろうか。

はじめに──「第三次世界大戦」という言葉にどう向き合うか

最近は「第三次世界大戦」という言葉を、よく目にするようになった。

ロシアによるウクライナ侵略、北朝鮮の核・ミサイル開発、中国の軍事的台頭。ニュースを断片的に追っているだけでも、世界が不穏な方向へ進んでいることは感じ取れる。ただ同時に、その言葉が持つあまりの強さゆえに、「怖い」「考えたくない」「どうしようもない」と、思考を止めてしまっている自分がいるのも事実だった。

そんなときに手に取ったのが、池上彰さんの『第三次世界大戦 日本はこうなる』(SB新書)である。

池上彰『第三次世界大戦 日本はこうなる』(SB新書)の書影
池上彰『第三次世界大戦 日本はこうなる』(SB新書)。世界情勢を「恐怖」ではなく「理解」から整理しようとする一冊。

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この本は、不安を煽るための本ではない。かといって、楽観的な希望を与えてくれる本でもない。池上さんらしい語り口で、現在の世界情勢と日本の立ち位置を、できるだけ分かりやすく、整理して提示してくれる一冊だ。

本書を読みながら、僕は次第に「これは“第三次世界大戦”を予言する本ではなく、“考えるための入口”を用意する本なのだ」と感じるようになった。

では、この本は何を教えてくれるのか。そして、読んだ僕たちは何を考え、どう行動すべきなのか。この記事では、本書の内容をなぞるだけでなく、読後に残った違和感や、僕自身の考えも交えながら、「いま、この本を読む意味」を整理してみたい。


池上彰は世界情勢をどう整理しているか

台湾有事は「日本の問題」として語られている

池上さんの説明が生々しいのは、中国・台湾問題を「日本の安全保障」として語っている点だ。たとえば、台湾有事の際、アメリカ軍がどこから出動するのか。その答えとして、池上さんはこう書いている。

そして、話は台湾有事だけでは終わらない。


ロシア・ウクライナ戦争が示す「後戻りできない構図」

そして池上さんは、ロシアのウクライナ侵略についてこう述べています。

ロシアの侵略がエスカレーションし、アメリカが軍事介入した結果、

ものすごいリアリティーを伴った最悪のシナリオである。


第三次世界大戦の勃発を示唆する世界地図と軍事兵器のイメージ画像
『これはもう後戻りのできない戦争、すなわち第三次世界大戦の勃発です。』──池上彰『第三次世界大戦 日本はこうなる』(SB新書)157ページより

僕たちは「第三次世界大戦の戦前」にいるのではないか

そして本書の「はじめに」で池上さんはこう述べている。

これは、この本の全編を貫く明示的なテーマではないだろうか。読み進めている間、この「第三次大戦の戦前」という言葉が頭にこびり付いて離れなかった。

たしかにこの考え方を前提にして、中国・ロシア・北朝鮮をめぐる情勢を一つずつ追っていくと、その言葉の現実性を否定できない。そして現状の日本を取り巻く安全保障環境は、決して歓迎できるものではなく「第三次世界大戦の戦前」という言葉には、取り返しのつかない過去の記憶が重くまとわりつく。

戦争という行為は「強力な火器を持って、相手国に攻撃を加え、国土を焦土化し、非戦闘員を含む人々を殺傷する行為」である。それは「相手国を回復不能な状況に追い込み屈服させ、要求を強制させること」であるならば、言葉を失うほどの戦慄を覚える。

だからこそ重要なのは、不安や危機感を煽ることではなく、「現実を直視し続ける姿勢」なのだと思う。池上さんの語り口が一貫して冷静なのは、この問題を感情で処理してはいけない、という強い意志の表れにも見える。

緊迫する世界情勢は、歴史上の事件でも、遠くの出来事でもない。

そして、いつ戦争に巻き込まれるか、知らなかったでは済まされないほど、不安定な世界に僕たちは生きている。


「怖いから」ではなく「冷静になる」ために

『第三次世界大戦 日本はこうなる』は、不安を煽るための本ではない。同時に、安心させてくれる本でもない。世界の現実を、できるだけ正確に、分かる形で差し出してくる本だ。

だからこそ、この本は「怖いから読まない」のではなく、現実を知り、分かるところから考えて「冷静になる」ための入口として読む価値がある。

僕がこの本を誰に勧めるかと問われたなら、世界情勢に関心はあるが、難しい議論から距離を置いてきた人たち。中高生から、現代社会に生きる多くの人に、手に取ってほしい一冊だと答えたい。

考えることを止めないために。その最初の一冊として。


謝意

なお今回レビューした書籍「第三次世界大戦 日本はこうなる」(池上彰著)は、参加中のSNSコミュニティー「ツナグ図書館」を経由して「SBクリエイティブ様」よりご恵贈いただきました。関係各位様にはこの場をお借りして、厚く御礼申し上げます。誠にありがとうございました。


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