はじめに
「AIを使えばブログが勝手に伸びる」──そんな言葉に、どこか心が揺れたことはありませんか?
SNSを開けば「ChatGPTで自動記事を量産」「1日1記事で月10万円」といった言葉が並びます。まるで、書くことの“本質”がツールにすり替えられているかのようです。
でも、それって本当でしょうか?
どんなに高性能な万年筆を持っていても、書きたい言葉がなければ、紙の上に文字は生まれません。そしてブログも同じです。どんなにAIが進化しても、“あなた自身が手を動かす”ことから逃れることはできません。
このブログでは、書くことの楽しさと、それを支える文具の魅力を伝えてきました。今回は少し視点を変えて「ブログ運営×AI活用」の幻想と現実について、書いてみたいと思います。その幻想はどこから来たのか?
その幻想はどこから来たのか?
SNSや広告がつくり出す“ラクして稼げる”という夢
AIの進化はたしかに目覚ましい。
ワンクリックで構成案が出て、見出しが並び、文章まで生成される。そんな未来が現実になってきた今、「もう努力しなくても記事って書けるんじゃないか」と思っても無理はありません。
実際、「AIで月10万円」「自動収益化!」といった情報商材まがいの広告が、SNSやYouTubeにはあふれています。それらの投稿は、時間のない若者や、始めたばかりのブロガーにとって、とても魅力的に映ります。
でも、その裏には“あるからくり”があります。発信者自身が「情報を売る」ことを目的としており、読者を“見込み客”として扱っているケースが多いのです。
つまり、「AIで稼げる」ではなく、「AIで稼げる情報を売って稼いでいる」が真実だったりします。
「AIで記事が勝手に伸びる」の本当の意味とは?
ここで冷静になって考えてみましょう。検索エンジンやSNSが、質の低い自動生成記事を本当に評価するでしょうか?
実は、Googleは2024年以降「誰が、なぜ、何のために書いたか(E-E-A-T)」を重視する傾向を強めています。AIが書いたような、ありきたりな情報だけを並べた記事では評価されにくくなっているのです。
また、SNSでも同様。読者が反応するのは、「誰が書いたか」がわかるリアルな体験や、誠実な語り口、そこに宿る“熱量”です。
AIが勝手に伸ばしてくれるのではなく、「使う人の力でようやく結果に近づける」というのが、正確な理解でしょう。
ブログは“書く道具”と同じ──誰がどう使うかがすべて
万年筆に例えてみよう
ここで、少し文具の話をさせてください。
たとえば、ペリカンの高級万年筆 M800。書き心地は抜群で、所有する喜びにもあふれています。
でもこの万年筆、机の上に飾っておくだけでは、1文字も書かれません。
手に取って、インクを入れて、自分の言葉を紙にのせていく。その過程があってこそ、初めて価値が生まれるのです。
ブログもまったく同じ。どんなにデザインを整えて、AIを導入しても、「あなたが何を書くか」がなければ、意味を持ちません。
AIは「自動筆記ツール」ではない
ChatGPTやAIツールは、確かに便利です。でもそれは、書くプロセスの“サポート役”であり、決して“代役”ではありません。「ねぇねぇChat GPT、ブログ書いといて」と指示をすればあなたの思い通りに動く、「夢のアンドロイド」ではないのです。
しかし、構成を考えるとき、表現の幅を広げたいとき、アイデア出しに詰まったとき──そうした場面では力強い助けになります。
けれど、「何を伝えたいのか」「なぜ今それを書くのか」という根本は、まず、あなた自身が向き合わなければならない。そして、ブログを書き続けたいなら「どうして書き続けるのか?」を自らに問い続けなければならないのです。
つまり、AIを使う前に“自分の頭と心を動かす”必要があるということです。
ブログを“育てる”という感覚を持とう
最初は誰にも読まれないのが当たり前
ブログを始めて3ヶ月。PVがゼロでも、それは失敗ではありません。
誰もが最初はそうです。最初から読まれる記事を書く人なんて、ほとんどいません。読まれない、認められない、そんな煩悶する時期を乗り越え、それでも書き続けた人だけが「少しずつ育っていく感覚」を掴むのです。
すなわち、ブログは“畑”のようなもの。種をまき、水をやり、太陽に当てて、地道に育てていく。AIは“肥料”になるかもしれないけれど、毎日の世話をするのはあなた自身です。
読者の「信頼」を得るには時間がかかる
今すぐにバズる記事を書きたい気持ち、よくわかります。
でも、ほんとうに価値ある発信とは、「この人の書くことなら信じて読める」と思ってもらえること。
それは1記事や2記事では手に入りません。10、20、30と書いていく中で、少しずつ積み上がっていくものです。
地味で遠回りに見える道こそが、信頼を築く唯一の方法なのです。
あなたは“誰かの真似”ではなく、“あなたの発信”をしていい
「正解の型」ではなく「あなたらしい型」をつくる
「SEO的にはこう」「収益を考えるならこういう書き方」──たしかに正しい知識です。
でも、その“型”ばかりを追いすぎると、書くことが苦しくなっていきます。
はじめは真似てもかまいません。でもいずれ、自分の文体、自分のペース、自分の表現を見つけていく。そのプロセスこそが、ブログを続けるモチベーションになっていきます。
「稼げる」より「書ける」が先
たとえ収益化が目的でも、まずは「書ける人」にならなければ何も始まりません。
ブログは“お金のなる木”ではなく、“あなたの書く力を育てる場所”です。「書けるようになった」その実感こそが、今後どんな道を選ぶにせよ、あなたの武器になります。
まとめ──焦らず、でも手を止めず。育てていこう
AIは、書くことを助けてくれます。けれども、育ててくれるわけではありません。ブログは、あなたの手で育てるものです。
毎日でなくてもいい。時に休んでもいい。でも、ほんの少しでも「自分の言葉」を積み重ねていくこと。それが、AI全盛のこの時代において、いちばん信頼される“発信者”になる道です。
ここまで偉そうなことばかり申し上げましたが、この「THINK INK NOW」だってまだまだ、生まれたばかりの「ひよっこブログサイト」です。でも僕は、文具が好きで、書くことが好きなので、読まれなくてもぜんぜん平気です。ブログサイトに携わっている時間がとても楽しいんです。
それに、最初から多くの人に読まれなくてもいい、認められるには時間がかかるだろうと「覚悟」しています。だから、文具情報を発信したい!という気持ちが、萎えることはないでしょう。
最後に、ブログを書いてみよう、発信サイトを立ち上げてみようと思った人へ、メッセージを送ります。
焦らなくていい。けれど、書く手を手を止めないで。
「なぜ書きたいか?」と考えることを忘れないで。
それではまた。
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