引っかかるタイトルだな
きっかけは、SNSで見かけた発売前の告知でした。
KADOKAWAから11月18日に発売される『AI時代に営業はいらない! 人を増やさず、稼ぐ力を10倍にする組織のつくり方』(長尾一洋 著)。
このタイトルが、引っかかってどうにもこうにも頭から離れません。
結局、自分で予約注文しました。自腹で買う本なので、誰にも遠慮せずにインプレが書ける。
正直に言えば、最初に思ったのはこうです。「タイトルが『釣り』になってないだろうな」と。
「営業はいらない」と言われても
僕は会社員として働きながら、副業でライターの仕事を探しています。応募文を書き、ポートフォリオを整え、取材先に依頼状を送る。毎日が営業です。

そんな56歳のライターにとって「営業はいらない!」は穏やかに聞き流せる言葉ではありません。
さっそく自分の仕事に置き換えてみました。AIに指示するだけで、仕事が取れるようになるのだろうか。もしそうなら、僕が毎日やっていることは何なのだろう。素朴ですが、切実な問いです。

AIと議論して見えたこと
自分では答えが出せず、この問いをAIに投げてみました。AIについての本を読む前に、AIと議論する。我ながら、少し皮肉な順番です。
AIの答えは明快でした。
営業先の調査、提案文の下書き、情報の整理。こうした作業は、AIがかなり手伝える。でも、誰に提案するか、どの案件に挑むか、どこまでリスクを引き受けるかは、経営者が決めること。営業活動を自動化することと、営業という機能そのものがいらなくなることは、同じではない。
そこで僕はこう返しました。
そこまで行くと、経営の主体がAIなのか人間なのか分からなくなると思うんです。投資もそうですが、自動化できないところに「勝負の妙」があると思うんですよね。
同じ情報を見ても、買う人、売る人、見送る人がいます。経営も、正解を計算するだけの作業ではありません。経験や価値観、直感、そして責任を背負った選択があります。
議論の最後に、AIが確認してきました。勝負の結果だけでなく、自分が勝負に参加すること自体にも価値があるのではないか、と。僕の返事は「もちろんです!」でした。
AIに仕事をさせる。でも、勝負は自分でする。
効率を追いかけるあまり、試行錯誤する楽しみまで手放してしまっては、本末転倒だと思うのです。
表紙を見て、予感が変わった
ところが、改めて表紙を眺めると、気になる言葉がありました。
「バイイング・ナビゲーター」
帯によれば、「買う人」の意思決定をサポートする新しい職種だそうです。著者は、営業支援に35年携わってきた方とのこと。
まだ中身は読んでいません。だから、ここから先は推測です。
もしかすると、著者の言う「営業はいらない」は、「人間はいらない」という意味ではないのかもしれません。売り込む役割が、買う人の判断を支える役割に変わる。そういう話だとしたら、僕がAIとの議論でたどり着いた「勝負は人間がする」と、案外近い場所に立っていることになります。
ただ、ひとつ違いがありそうです。判断するのは「買う人」なのか、それとも「売る側の自分」なのか。このずれが、読んだ後にどう見えるか。いまから楽しみです。
読む前に立てた、4つの問い
タイトルへの反発を、そのまま結論にするつもりはありません。著者が「営業」をどう定義しているのか。「10倍」の根拠は何か。具体例を確かめ、自分の経験と照らし合わせて評価したいと思います。
告知では「営業部不要」とうたわれています。それが部署の話なのか、機能の話なのか。本が届いたら、次の4つの問いを持って読みます。
- 「営業はいらない」とは営業担当がいらないのか、営業という機能なのか。
- 「稼ぐ力を10倍」の指標と比較対象・裏づけのデータは何か。
- AIに任せられる判断と、人間が担うべき判断の境目はどこにあるのか。
- 営業を効率化する事と、仕事の面白さを残すことは両立するのか。
読んで納得したら、自分の営業のやり方を見直します。納得できなければ、根拠を示して異論を書きます。意外と意見が一致する可能性もあります。どの結末になっても、続きを書くつもりです。
答え合わせは、次回の記事で。

書籍情報

書籍名:AI時代に営業はいらない! 人を増やさず、稼ぐ力を10倍にする組織のつくり方
著者:長尾 一洋
出版社:KADOKAWA 判型:四六判 ページ数:256ページ
発売日:2026年11月18日 定価:2,090円(本体1,900円+税)







